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- 憲法
- 条約
- 法律
- 政令
- 内閣官房令
- 内閣府令
- 省令
- 条例
- 規則
ってそれぞれどういう違いがあるの?って人向けのページだよ。
いろいろな「法令」の種類について紹介するよ。
違い
どういう違いがあるの?
どれも「守らないといけないルール」には変わりないよ。
ただ、
- 「誰が守らないといけないのか」
- 「誰が作るのか」
は全部違うよ。
次の表にまとめてみたよ。
法令の種類 | 守らないといけない人 | 作る人 |
---|---|---|
憲法 | 国(公務員) | – |
条約 | 「内閣」が外国と結ぶ → 「国会」が承認 | |
法律 | 国民 | 「国会議員」or「内閣」が発案 → 国会が承認 |
政令 | 内閣 | |
内閣官房令 | 内閣官房 | |
内閣府令 | 内閣府 | |
省令 | 各省庁(例:財務省) | |
条例 | その地方自治体に住んでいる住民のみ (例:東京都の条例なら東京都民だけが対象) | 議会(例:都道府県議会、市町村議会) |
規則 | 首長(例:都道府県知事、市町村長) |
守らないといけない人
「憲法」と「条約」って、僕たち「国民」は守らなくていいの?
強さ順
ルールの強さってどういう順番なの?
ルールの強さは、次のような順番だよ。
憲法 >条約 > 法律 > 政令 >内閣官房令 = 内閣府令 = 省令 > 条例 >= 規則
「憲法」が一番強いんだね。
うん。
- 「憲法」が最強。
- その次に強いのが、国の国との約束ごとである「条約」。
- その次が、僕たち「国民」の代表である「国会議員」が決めた「法律」。
- その次が、政府や役所のルールである「内閣官房令」「内閣府令」「省令」など。
- その次が、各地の地方自治体のルールである「条例」「規則」。
という感じだね。
ということはつまり
- 「法律」は、「憲法」に反することはできない
- 「政令」は、「法律」に反することはできない
- 「内閣官房令」「内閣府令」「省令」は、「政令」に反することはできない
- 「条例」「規則」は、「内閣官房令」「内閣府令」「省令」に反することはできない
という感じになるの?
そういうこと。
それぞれの存在意義
「政令」とか「内閣府令」とか「省令」って、決める意味あるの?
「法律」だけじゃダメなの?
作るメリットは2つあるよ。
具体例を出して説明するね。
例えば、「イケメン税法」っていう、「一定以上のイケメンからは税金を課す」という法律を作りたいとしよう。
イケメン税法・・。
・・いや、例えで使ってるだけだから本気にしないでね。
そして、「イケメン税法」を「国会」で可決できたとしよう。
この時、可決した後は、この法律を施行(国民に知らせて守らせること)する必要があるわけだけど、次のような問題点があるよね。
- 具体的にどの程度の顔面レベルから税金を課すのか?
- 顔面レベルの基準はどうするのか?(二重まぶた?色白?鼻の高さ?髪質?)
- どうやって税金を徴収するのか?
- ・・その他いろいろ
こんな細かい話まで「国会」で話し合ったら「時間がいくらあっても足りない!!」ってなるよね?
だから、「法律の細かい話は担当の省庁などに任せよう!!」ってことになってるんだ。
確かに、(試しに)「消費税法」を読んでみたけど
- 「~~~の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」
- 「~~~の規定の適用に関し必要な事項は、○○省令で定める書類を~~」
みたいに書かれていることが多いね。
うん。そうでしょ。
ちなみに
「政令」は「施行令」と呼ぶことが多いよ。
「省令」は「施行規則」と呼ぶことが多いよ。
例: 消費税法(消費税の「法律」) ├消費税法施行令(内閣がつくった消費税法の「政令」) └消費税法施行規則(財務省が作った消費税法の「省令」) 「○○法」の下に「○○法施行令」と「○○法施行規則」がぶら下がっているイメージ
えと話を元に戻すね。
つまり、「○○っていう法律を作ったからみんな守ってね!! くわしい内容は△△省が○○省令っていうのを作ってくれるからそれを見てね!!」という感じにすることで
「国会」で「法律」を作ることに集中することができるんだ。
これが1つ目のメリットだよ。
2つ目のメリットは?
2つ目のメリットは
「くわしくは○○省令を見てね!!」っていう風にしておくことで、国の情勢にあわせて、法律を微調整することができるっていう点だよ。
どういうこと?
「法律」を改正(内容を変えること)するのって、国会の承認が必要なんだけど、それってすごく時間がかかるんだ。
だから、「くわしい内容は○○省が作ってくれるからそれを見てね!!」っていう風にしておくと、「政令」「省令」などを変えるだけで、法律の内容を微調整することができるんだ。
なるほど。
でも、「政令」とか「省令」ってすぐに変えることができるの?
”すぐ”ってわけじゃないけど、「法律」を改正することに比べたら、”すぐ”と言えるよ。
地方の問題
じゃあ、「条例」と「規則」はなんのためにあるの?
地域ごとに、わざわざ作る必要あるの?
さっきの「イケメン税法」で例えると、地域特有のイケメン(例えば南の地域だと「色黒イケメンが多い」とか北の地域だと「色白イケメンが多い」とか)っているでしょ?
そういう「地域特有の問題」に対処するために、「条例」と「規則」はあるんだ。
そうなんだ。
でも「地域特有の問題」って具体的にどういうのなの?
例えば、「大阪府」では、自転車の事故が多いんだ。
だから、「自転車に乗ってる人はこれを守ってね!!」という条例があったりするよ。
この条例では、「自転車に乗る人は全員、自転車保険に強制加入しなさい!!」ってことになってたりするよ。
おわり
※1:ただし、「憲法は国民も守らないといけない」という憲法解釈もあります
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