
このページでは「衆議院選挙」における
- 小選挙区制
- 比例代表制
の違いについて、具体的に紹介するよ。
違い

「小選挙区制」と「比例代表制」の違いってなに?

違いを次の表にまとめたよ。
小選挙区制 | 比例代表制 | |
---|---|---|
当選者の選び方 | 「全国を289エリアに分けて各エリアで立候補した候補者の中で1番多く票を集めた人が当選する」 | 「全国を11エリアに分けて、各エリアごとに各政党の得票数を集計して、その得票数に応じた議席を『ドント方式』で各政党に割り当てる」 |
定数 | 289人 | 176人 |
投票する対象 | 「候補者名」で投票する (無所属の人も立候補できる) | 「政党名」で投票する (なので、無所属の人は立候補できない) |
議員としての”格” | ○ (高い) | ✕ (低い) |
当選した後の「党の移籍」 | ○ (できる) | ✕ (できない) |

1つずつ説明していくね。
選び方

選び方は、表に書いてある通りだよ。
すごくザックリ言うと、
- 小選挙区制・・・1位だけを当選させる(多数決を重視)
- 比例代表制・・・票の数に応じて平等に当選させる(多様性を重視)
という感じだよ。

詳しい仕組みについて知りたい人は
前のページ(衆議院選挙の仕組みとは?(2/4))を見てお!
定数

定数は
- 小選挙区制・・・289人
- 比例代表制・・・176人
でそれぞれ選んで、合計「465人」の衆議院議員を選ぶんだね。

うん。
投票する対象

これも表に書いてある通りだね。
- 小選挙区制では、「候補者名」
- 比例代表制では、「政党名」
という感じで、それぞれ投票するんだね。

うん。
だから、「比例代表制」では、無所属(政党に属していない人)は立候補できないんだったね。
議員としての”格”

これは当選した後のことなんだけど、
議員としての”格”は、「小選挙区から選ばれた議員の方が上」という風潮があるよ。
小選挙区選出議員>>超えられない壁>>比例選出議員

なんで?

比例代表で選ばれた議員は
「政党の力で当選できたんだろ?」
「小選挙区じゃ支持されなかったんだろ?」
みたいに思われるからだよ。

それに、前のページで話したように、比例選出の議員って「小選挙区で落選したから比例で”復活当選”した」って人が多いんだよね。

学生で言えば、「滑り止めの学校に受かった」みたいな感じなんだ。
だから、格下に見られがちなんだよ。
当選した後の「党の移籍」

これは案外知られていないんだけど
比例で当選した議員って、他の党に移籍することは、法律で禁止されているんだ。

どういうこと?

例えば、「自民党」の比例代表として当選した議員が、
当選後に「やっぱり公明党に移籍します!」ってのはダメなんだよ。

え?
なんでダメなの?

比例代表で当選した議員って、「政党名」で信用を得て当選してるわけでしょ?
だから「比例で当選した以上、その政党でずっと頑張るのは当然だろ」ってことだよ。

ああ、たしかに「自民党」の人だから投票したのに、その後に自分の嫌いな政党に移籍されたら「約束が違う!」ってなるもんね。

うん。
でも、他の党に移籍することは法律上認められていないんだけど
- 無所属として活動する
- 選挙時にはなかった新党結成に加わる
という2つについては禁止されていないんだ。

ああ、政治家がすぐに新しい名前の政党を作ちがちなのは、そういう理由があるからなのか・・。

これはもう、脱法みたいなものだよね。
その他
小選挙区では、政党は候補者を1人しか出さない

小選挙区では「1位だけしか当選できない」から
各政党は、(基本的に)候補者を1人しか出さないよ。

なんで1人しか出さないの?
いっぱい出した方が当選する確率が上がるんじゃないの?

理由は2つあるよ。

まず1つ目は、選挙代がムダになる点。
複数の候補者の応援(選挙カーで回ったりポスターを作ったり)をすると選挙費用がバカにならないでしょ?

たしかに・・。

2つ目は、票が分散して負けちゃうかもしれない点。
1人しか出さないのは、こっちの理由がメインだね。

例えば、候補者が1人の場合は
- ○○氏(A党)・・・得票率60%
- □□氏(B党)・・・得票率40%
という感じで、A党が勝っていたのに、候補者を2人出すと
- ○○氏(A党)・・・得票率30%
- △△氏(A党)・・・得票率30%
- □□氏(B党)・・・得票率40%
となって、票が分散してB党に負けるかもしれないでしょ?

なるほど・・。
ちなみに、同じ政党から2人の候補者が立候補することもあるの?

過去にあったよ。
例えば、小泉政権で「郵政民営化しても良いですか?」というのを国民に問う解散総選挙をしたとき、小泉首相は「郵政民営化」に反対している候補者の小選挙区に、「郵政民営化」に賛成している自民の候補者を”刺客”として送り込んだりしたよ。
小選挙区では、「野党共闘」することもある

小選挙区では「1位だけしか当選できない」から
B党とC党が結託して「一緒にA党をやっつけようぜ!」というような「野党共闘」をすることがよくあるよ。

え?
共闘ってどうやってするの?

例えば、↓のような2つの選挙区があったとする。
選挙区X | 選挙区Y |
---|---|
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どちらもA党がギリギリ1位を取ってるような状態だね。

うん。
この2つの選挙区で
- 選挙区Xでは・・・
- C党は「C党を支持してくれる方は代わりにB党の人に投票してください!」と応援演説する
- 選挙区Yでは・・・
- B党は「B党を支持してくれる方は代わりにC党の人に投票してください!」と応援演説する
という風に「野党共闘」する。

そうすると、次のように、A党を倒すことができるんだ。
選挙区X | 選挙区Y |
---|---|
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・選挙区Xでは、本来、C党に集まるはずだった票がB党に流れたおかげでB党が勝つ
・選挙区Yでは、本来、B党に集まるはずだった票がC党に流れたおかげでC党が勝つ

つまり
「俺らB党はX選挙区でお前らC党を応援する!候補者も出さない!」
「だからお前らC党はY選挙区で俺らB党を応援してくれ!」
ってことか。

そう。
このようなことを全国289の選挙区でやることによって、「少しでも多く議席を獲得しよう!」というのが「野党共闘」と呼ぶんだ。
おわり
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