選挙人制度のメリット・デメリット(3/3)

しょぼん

このページでは、「選挙人」制度の

  • メリット
  • デメリット

について紹介するよ。

選挙人制度とは?

しょぼん

選挙人制度ってなんだっけ?

モナー

大統領選挙において、

国民
↓(選ぶ)
選挙人
↓(選ぶ)
大統領

という風に、
「選挙人」が間接的に大統領を選ぶことを「選挙人制度」と呼ぶんだったね。

選挙人制度のデメリット(問題点)

しょぼん

選挙人制度のデメリットってなに?

モナー

デメリットは次のような事が挙げられるよ。

  • 「1票の格差」が生まれてしまう
  • 得票数の少ない候補者が勝ってしまうかも
  • 選挙人の裏切り

順番に説明していくね。

「1票の格差」が生まれてしまう

しょぼん

「1票の格差」ってなに?

モナー

「1票の格差」は、州によって国民1人当りの「票の価値」が変わってしまうことを指すよ。

しょぼん

なんでそんなことが起こるの?

モナー

「議員一人当たり人口」が州によって違うからだよ。

しょぼん

どういうこと?

詳しい説明をおねがい。

モナー

各州の「選挙人」の数は、

上院の議席数+下院の議席数=選挙人の数

で決まるんだったね。

しょぼん

うん。

モナー

そのうち、上院の議席数分の「選挙人」は、人口が少ない州も多い州も、絶対に最低「2人」が選出されちゃうんだ。

 

例えば、次の表を見て。

州名 人口 上院の議員数 議員一人当たり人口 1票の格差
ワイオミング州 約50万人 2人 25万人 1.00
カリフォルニア州 約1800万人 1800万人 72.00
モナー

この表では、「カリフォルニア州」の国民の票は、「ワイオミング州」の国民の票に比べて、72倍も価値が低いということが分かるよね。

しょぼん

上院の議席「2人」分の「1票の格差」は、人口差が広がれば広がるほど大きくなってしまうのか・・。

モナー

そういうこと。

あと、下院の議席数分でも「1票の格差」は生まれているよ。

例えば、次の表を見て。

 

 

州名 人口 下院の議員数 議員一人当たり人口 1票の格差
ロードアイランド州 約106万人 2人 53万人 1.00
モンタナ州 約97万人 1人 97万人 1.83
モナー

この表では、「モンタナ州」の国民の票は、「ロードアイランド州」の国民の票に比べて、1.83倍も価値が低いということが分かるよね。

しょぼん

でも、1.83倍くらいの「1票の格差」は日本もあるよね・・?

モナー

そうだね。

2014年の衆議院選挙で、「1票の格差」が最大2.13倍になってしまったために、2017年に「小選挙区の区割りを見直そう!格差を最大1.999倍までにしよう!」ということになってるよ。

得票数の少ない候補者が勝ってしまうかも

しょぼん

これはよくニュースでも話題になったりしてたね。

モナー

うん。

例えば、2016年の大統領選挙では、「クリントン候補」は「トランプ候補」よりも200万票近く多くリードしていたのにもかかわらず、「トランプ候補」が勝ってしまったよね。※1

しょぼん

なんでそんなことが起きるの?

モナー

多くの州では、「勝者総取り方式」というルールになっているからだよ。

しょぼん

「勝者総取り方式」ってなに?

モナー

「一般投票で過半数の獲得した候補者は、すべての選挙人の票を獲得できる」というルールのことだよ。

例えば、次の表を見て。

州名 候補A 候補B
獲得した票数 獲得した選挙人数 獲得した票数 獲得した選挙人数
ワイオミング州 2万 0人 50万 3人
カリフォルニア州 140万 36人 120万 0人
合計 142万 36人 170万 3人
モナー

この表では、

・獲得した票数は、B候補の方が多い(170万142万
・獲得した選挙人数は、A候補の方が多い(36人3人
=選挙に勝つのはA候補)

ということが分かるね。

こういうことが各州で起こって積み重なると、「200万票もリードしてるのに選挙には負ける」ということが起こってしまうんだ。

しょぼん

なるほど。

じゃあ逆に「勝者総取り方式」じゃない州ってどこ?

モナー

「メイン州」と「ネブラスカ州」だよ。

しょぼん

その2つの州は、どういう方式なの?

モナー

上院の議席分(2名分)を州全体での最多得票の候補に与え、残りの下院の議席分を、下院選挙区ごとに最多得票の候補に1名ずつ与えることになっているよ。

つまり、

  • メイン州(4名分):
    • 上院の議席分:2人
    • 下院の議席分:2人
  • ネブラスカ州(5名分):
    • 上院の議席分:2人
    • 下院の議席分:3人

という感じになるよ。

選挙人の裏切り

しょぼん

選挙人の裏切りってなに?

モナー

多くの州では、

「選挙人は、一般投票で過半数の票を獲得した候補者に投票しなさい!」

ってルールで決まってるんだけど、このルールを破って「自分の好きな候補者に投票してやろう!」ということもできてしまうんだ。

しょぼん

ルールを破って投票した票は、無効にならないの?

モナー

一部の州では無効になるけど、多くの州では無効にならないよ。
(無効になる州では、選挙人は別の人と交代させられるよ)

しょぼん

ルールを破ったら罰金とかないの?

モナー

多くの州では罰金があるよ。

けど、そこまで多い罰金でもないから、「罰金してでも自分の好きな候補者に投票してやろう!」という選挙人が過去に何人かいたよ。

しょぼん

過去に何人の選挙人が裏切ったの?

モナー

1948年から2004年までの間に、裏切った選挙人は9人だよ

しょぼん

選挙人の裏切りによって、選挙結果が変わってしまうことがあったの?

モナー

過去には起こってないよ。

選挙人制度のメリット

しょぼん

逆に、選挙人制度のメリットってなに?

モナー

メリットは次のような事が挙げられるよ。

  • アメリカ全体で支持を得なければならない
  • 2党制を強化できる
  • 州の意思を尊重できる

順番に説明していくね。

アメリカ全体で支持を得なければならない

しょぼん

「アメリカ全体で支持を得なければならない」ってどういうこと?

モナー

多くの州は「勝者総取り」というルールを採用しているから、候補者は選挙人が少ない州でも選挙活動しないと勝てないんだ。

だから、候補者はどんなに小さい州でも選挙運動をする。

これがメリットだよ。

しょぼん

小さい州に住んでいる人からすると、「私たちのような小さい州のことも考えてくれていて嬉しい!」っていうメリットになるってことか。

2党制を強化できる

しょぼん

「2党制を強化できる」って「民主党」と「共和党」を強化できるってこと?

モナー

そうだよ。

実質、大統領選挙は「共和党」と「民主党」の一騎打ちだからね。

しょぼん

「民主党」と「共和党」以外の「一般の候補者」は勝てないの?

モナー

基本的に勝てないよ。

そもそも一般の候補者は、一定の署名を集めないと「一般投票」の対象になれないからね。

しょぼん

「一般投票」の対象になれないってどういうこと?

モナー

例えば、A州という州では「一般投票」で

  • B候補を支持する「選挙人」
  • C候補を支持する「選挙人」
  • D候補を支持する「選挙人」

という感じで「選挙人」を選ぶとする。

この場合、A州が候補として認めていないE候補を支持する「選挙人」は、選ぶことすらできないということだよ。

しょぼん

一般人の場合、絶対に「選挙人」を獲得できない「州」がある可能性が高いのか・・。

勝てる確率がかなり下がるんだね・・。

しょぼん

じゃあ「一定の署名」って具体的にどれくらいなの?

モナー

例えば

  • 「カルフォルニア州」では・・
    • 「一般投票」の対象になるために、署名が13万人が必要だったりするよ。※2
  • 「テネシー州」では・・
    • 「一般投票」の対象になるために、275人分の署名だけで良かったりするよ。

という感じだよ。

しょぼん

州によって違うんだね。

州の意思を尊重できる

しょぼん

「選挙人」=「州の代表」だから
「州の意思を尊重できるよね」ってこと?

モナー

うん。

まとめ

しょぼん

選挙人制度って悪い存在なの?

モナー

どちらでもないよ。

そもそもアメリカは、

・「国民ひとりひとりの意見を尊重すべきだ!」という民主主義でもあり、
・「州ひとつひとつの意見を尊重すべきだ!」という連邦主義でもあるんだ。

つまり「選挙人」という制度は
2つの主義を同時に実現するために作られた制度なんだ。

しょぼん

じゃあ一概に「悪いものだ!」と言えないんだね。

モナー

選挙人制度は、一見すると非合理な制度のように見えるかもしれないけど、

アメリカという巨大な国を運営するには、「民主主義」と「連邦主義」の二つの柱が必要なのかもしれないね。

 

 

おわり

 

※1:敗れたクリントン氏、得票数200万票超リード 米大統領選

コメント