このページでは、ミャンマーでの「ロヒンギャ問題」について、わかりやすく紹介するよ。
ロヒンギャとは?
そもそも「ロヒンギャ」ってなんなの?
ミャンマーにいる「少数派のイスラム教徒」のことだよ。
人口は100万人くらいいるよ。
鳥取県の2倍くらいの人口か。
ロヒンギャ問題とは?
ロヒンギャ問題ってなに?
どういうことが問題にされてるの?
ロヒンギャの人たちに対して、
- 銃で撃ち殺したり、
- 家を焼いたりしたり、
と、ミャンマーの治安部隊(軍隊のこと)がヒドイことをしていることが問題になっているよ。
そのせいで、ロヒンギャの半数以上(50万人以上)が、「このままじゃ殺されちゃうし、食べ物も住むところもない!」ということで、バングラデシュへ国外避難していたりして、人道危機が起きているんだ。
▲ロヒンギャの避難民キャンプ(バングラデシュ国境)
人道危機というのは、「本来国が保障するべき自国民のいろいろな権利などが、何等かの理由で侵害されている危機的な状況のこと」だお!
なぜ?
なんでミャンマーの治安部隊は、そんなヒドイことをするの?
経緯は次のような感じだよ。
元々、ロヒンギャは、ミャンマー国内で「お前らはミャンマー国民じゃない!」と差別されていた。
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それに反発したロヒンギャの武装勢力たちが、「差別するな!」と度々、反発を起こしていた。
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そして、2017年8月25日に、「我慢の限界だ!」と怒ったロヒンギャの武装勢力たちが、ミャンマー政府の軍や警察の施設などを一斉に襲撃した。
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襲撃されたミャンマーの治安部隊は、「こうなったらロヒンギャの武装勢力を全員ブチ殺したろ!」と掃討作戦を開始した。
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その作戦によって、「ロヒンギャの武装勢力」 vs 「ミャンマーの治安部隊」の戦闘が激化した。
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その戦闘のせいで、ロヒンギャ民は、大量に殺されたり、家を燃やされたり、ヒドイことに巻き込まれている。
つまり、ロヒンギャ問題は、ロヒンギャの武装勢力たちが、ミャンマー政府の軍や警察の施設などを一斉に襲撃したのが発端なのか。
なぜ差別(迫害)されているのか
そもそもなんで、ロヒンギャの人たちは、ミャンマー国内で差別されているの?
ミャンマーの国民たちは、ロヒンギャの人たちに対して、
- 「不法移民だ!」(第2次世界大戦の後に勝手に入ってきたやつだ!)
- 「宗教が違う!」
- 「見た目も違う!」
- 「だから、ミャンマー国民じゃない!ミャンマーから出て行け!」
というようなことを差別の理由にしているよ。
なんか、くだらない理由で差別されてるんだね・・。
そうなんだけど、差別意識の根底にあるのは、
- 「ロヒンギャが自分たちの権利がおびやかすのじゃないか?」
- 「自国が侵略されるんじゃないか?」
という恐怖心らしいよ。
ロヒンギャの人たちに、そういう考えはあるの?
それは分からないよ。
ちなみに、ロヒンギャの人たちは、
- 「アラカン王国の時代(大昔)から住んでいる!」(第2次世界大戦ではビルマ兵(日本兵)と戦った!)
- 「だから私たちもミャンマー国民だ!」
と反論しているよ。
ロヒンギャは国籍すら与えられていない
1982年に「国籍法」という法律が作られたんだけど、この法律の中でも、「ロヒンギャは国民として認めない!」ということになっているんだ
だから、ロヒンギャの人たちは、ミャンマー国民としての「国籍」を与えられていないんだよ。
え?そうなの?
じゃあ、ロヒンギャの人たちって「不法移民」みたいな扱いなの?
そうだよ。
そんなこともあって、差別意識は強いんだと思うよ。
民主化のせいで差別意識増加
「民主化」と「差別」がどう関係があるの?
順番に説明するね。
ミャンマーは昔、軍が「こうしよう!ああしよう!」と政権をにぎっていたんだ。(軍事政権)
それで今現在、国家顧問である「サウン・サン・スー・チー」という人が、「国民による政治を行うべきだ!」と言って、民主化したんだ。
うん。
民主化のお陰で、国民は「言論の自由」を得たんだけど、そのせいで、ロヒンギャに対する差別を口にするようになったんだ。(ヘイトスピーチ)
それが差別意識が強化されている原因の一つでもあるよ。
ミャンマー国民の差別意識を象徴した事件
ミャンマー国民のロヒンギャに対する差別意識を象徴する事件として、
ミス・ユニバース(簡単に言うとキレイな人を決める大会)のミャンマー代表が起こした、ロヒンギャ批判の事件があるよ。
詳しくは次のページを見てお!
ミャンマー国民は「ロヒンギャ」という名前すら嫌っている
ミャンマー国民は、「ロヒンギャ」という名前すら嫌っていて、彼らの前でロヒンギャの名前を口にすると、露骨に嫌な顔をするらしいよ。
なんで?
彼らに言わせれば、
- 「あいつらはロヒンギャじゃない!」
- 「ベンガル人だ!」
ということらしいよ。
ベンガル人?
うん。
つまり、「ベンガル人=バングラデシュなどに住んでいる人」だから、「ミャンマーの国民じゃないだろ!」出ていけよ!」ということを言いたいんだと思うよ。
国際社会と国民からの板挟み
「サウン・サン・スー・チー」さんがどうにかできないの?
ミャンマーで一番偉い人なんでしょ?
「差別をやめなさい!」って指導できないの?
「サウン・サン・スー・チー」氏は、国民の絶大な支持を得て、国のトップに登りつけたわけだから、「ロヒンギャは差別すべき!」と言っている国民のことは無視できないんだ。
ロヒンギャの差別をなくすような政策をすると、すぐに「辞めろ!」と反発が起こっちゃうからね。
国のトップと言えど、国民の意思に反したことはできないんだね・・。
更に、「サウン・サン・スー・チー」氏には、ミャンマー軍を指揮権が与えられていないんだ。
だからそもそも、軍をコントロールして「迫害をやめなさい!」と命令することはできないんだよ。
え?
じゃあ混乱を抑えるのはムリじゃ・・?
そう。ムリなんだよ。
だから、この混乱を抑えるには、憲法を変えたり、法律を変えたり、いろいろとやらないといけないことが多すぎるんだ。
でも、国際社会からは「ロヒンギャ差別をどうにかしろ!」と言われているし、「サウン・サン・スー・チー」氏からすると、「板挟み状態だ!どうすりゃいいんだ!」という感じなんだよ。
「サウン・サン・スー・チー」さん、大変なんだね・・。
解決の糸口
そんなこんなで、「サウン・サン・スー・チー」氏は、ロヒンギャ問題を解決するために、「ロヒンギャ問題解決のための諮問委員会」というのを作ったんだ。
そして、その委員会で、ロヒンギャの人たちに対して
- 教育・医療を受ける権利の保障しよう!
- 隔離をやめて移動の自由を認めよう!
- 一定期間の居住で国籍を与えよう!
という3つの方針を立てたんだ。
でも、そんな方針に、国民は納得しないんじゃ?
うん。
でも、この委員会には「コフィ・アナン」という元国連事務総長も加わっているんだ。
だから、国民に対しては「この方針は国連事務総長を務めた人の意見も加わっている!つまり世界の意思が加わっていると言っても過言じゃない!だからこの方針に賛同してくれ!」ということを主張しているよ。
なるほど。
「自分の意思じゃないよ!世界の意思だよ!」という建前が作れたわけか。
つまり、長い期間をかけて、ゆっくりと3つの方針を進めていくつもりにしているらしいよ。
僕たちにできること
ロヒンギャの人たちに対して、僕たちにできることって何かあるの?
おわり
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