このページでは、「衆議院の優越」について紹介するよ。
「衆議院の優越」とは?
「衆議院の優越」ってなに?
かんたんに言うと
「参議院の意見より、衆議院の意見を優先しましょう」
という国会でのルールのことだよ。
具体例
具体的にはどういう場合に優先されるの?
例えば、次のような議決のときだよ。
- 法律を決めるとき
- 予算を決めるとき
- 内閣総理大臣を決めるとき
- 条約を承認するとき
「議決」・・・みんなで話し合って「可決」か「否決」か決めることだお!
じゃあ、次のようになるってこと?
(・∀・):衆議院
(・A・):参議院
1.法律を決めるとき
(・∀・)「こんな法律を作ります」
(・A・)「こんな法律ダメだ!!」
⇒衆議院の議決が優先されるので可決
2.予算を決めるとき
(・∀・)「予算はこれでOKです」
(・A・)「こんな予算ダメだ!!」
⇒衆議院の議決が優先されるので可決
3.内閣総理大臣を決めるとき
(・∀・)「内閣総理大臣は○○さんが良い」
(・A・)「内閣総理大臣は▲▲さんが良い」
⇒衆議院の議決が優先されるので○○さんに決まり
4.条約を承認するとき
(・∀・)「その条約、承認します」
(・A・)「そんな条約、承認するわけにはいかん!!」
⇒衆議院の議決が優先されるので承認
うん。
簡単に言えばそういうことだよ。
もっと詳しく
うーん、具体例を知りたいから
「法律」を作るときの「衆議院の優越」について詳しく教えて!
「法律」を作るときは、ザックリ言うと
「衆議院」で過半数の賛成
↓
「参議院」で過半数の賛成
という風に「衆議院」と「参議院」のそれぞれで過半数の賛成が必要でしょ?
うん。
でも、「参議院」の方で「こんな法律を作らせるわけにはいかない!!」と「否決」された場合でも、
その後でもう1度、「衆議院」で3分の2以上の賛成があれば「法律を作って良いよ!!」ってことになってるんだ。
それが法律を作るときに適用される「衆議院の優越」なんだね。
衆議院が優先されるのはなぜ?
なんで「衆議院」の意見の方が優先されるの?
理由は次の3つだと言われているよ。
- 任期が短いから
- 解散があるから
- 人数が多いから
1.任期が短いから
「任期が短いから」ってどういうこと?
それぞれの任期は、次のように違うんだ。
- 衆議院:4年
- 参議院:6年
だから、「衆議院の方が優先すべきだよね」ってことだよ。
なんで任期が短い方を優先すべきなの?
例えば、極端な話、50年前に選ばれた議員が「最近の世論を反映してるか?」って言われてもそうは思えないでしょ?
つまり
短い間隔で選挙で選ばれる「衆議院」の方が国民の意見(世論)を反映しているはず!
↓
だから「衆議院」の意見を優先すべき!
という理由だよ。
2.解散があるから
じゃあ次に「解散があるから」ってどういうこと?
「衆議院」は、内閣総理大臣が「お前らのことが気に入らん!! だから解散する!!」って言えば、衆議院のメンバーを全員クビにできちゃうんだ。※1
だから実質、「衆議院」は「4年」という任期よりさらに短い任期なんだよ。
というか、任期を満了できたことの方が少ないしね。
「衆議院」は平均すると「2年半」くらいの任期で終わるようだお!(ソース)
4年間クビにならない確率より、4年以内にクビにされちゃう確率の方が高いってことか・・。
そう。
つまり
「衆議院」のメンバーは、しょっちゅう変わる
↓
せめて「衆議院」の意見を優先させてあげようよ!
ってことだね。
3.人数が多いから
じゃあ最後に「人数が多いから」ってどういうこと?
それぞれの人数は、次のように違うんだ。
- 衆議院:465人
- 参議院:242人
だから、「人数が多い方の意見を優先すべきだよね」ってことだよ。
なんで、人数を多い方を優先すべきなの?
「国会議員」=「国民の代表」なわけだから、「たくさんの国会議員で話し合ったほうが、より多くの国民の意見を取り入れられるよね!!」っていう理屈だよ。
例えば極端な話、10人で出した結論より、100,000人で出した結論の方が納得できるでしょ?
なるほど。
根拠は?
「衆議院の優越」の根拠はなに?
日本国憲法に根拠が書いてるよ。
法律↓
第59条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
○2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
予算↓
第60条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
条約↓
第61条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。
内閣総理大臣↓
第67条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
引用:日本国憲法
議席数
「衆議院」の「自民党」の議席数を見れば、「衆議院の優越」を意識してるんだなぁ~ということが分かるよ。
どういうこと?
「衆議院の優越」という権利を使えば、法律を作るとき、「参議院」で否決されても、「衆議院」で3分の2以上の賛成があれば、法律がつくれちゃうでしょ?
だから、「自民党」としては、「衆議院で3分の2以上の議席を確保したい!!」って必死なんだ。
そうなの?
うん。
でも、残念ながら、2014年の衆議院選挙↓では「3分の2以上の議席」を確保できなかったんだけどね。
▲衆議院の議席数(2017年4月現在)
|
あ。
もしかして、「公明党」と「連立政権」を組んでるのって、次↓のような理由からなの?
自民党「衆議院で3分の2以上の議席を確保したい!!(`・ω・´)」
↓
自民党「でも自民党だけでは議席が足りなかった(´;ω;`)」
↓
自民党「仕方ない・・、公明党とタッグを組むか・・(´・ω・`)」
そうだよ。
「自民党」が「公明党」と「連立政権」を組んでいるのは
「衆議院」で「3分の2以上の議席」を確保するためなんだよ。
おわり
※1:「内閣不信任案」が可決された時と「内閣信任案」が否決された時に、内閣総理大臣は「お前らのことが気に入らん!! だから解散する!!」という権利を実行できます(参考:内閣信任案と内閣不信任案の違い)
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