このページでは「衆議院選挙」における
- 小選挙区制
- 比例代表制
のメリット・デメリットについて紹介するよ。
メリット・デメリット
「小選挙区制」と「比例代表制」のメリット・デメリットについて教えて。
次の表の通りだよ。
○:メリット
✕:デメリット
小選挙区制 | 比例代表制 | |
---|---|---|
選挙にかかる費用 | ○ 選挙範囲が狭いため、選挙活動にお金がかかりにくい | ✕ 選挙範囲が広いため、選挙活動にお金がかかる |
政局の安定しやすさ | ○ 仕組み上、大きい政党が勝ちやすいので、政局が安定しやすい | ✕ 仕組み上、小さい政党も勝ちやすいので、政局が安定しにくい |
候補者を選べる? | ○ 有権者が直接、候補者を選べるので、民意を反映されやすい | ✕ 政党が「どの候補者を当選させるか」を決めてしまうので、民意が直接反映されにくい |
死票の出やすさ | ✕ 1位以外の候補者に投票した民意がすべて切り捨てられてしまうため、死票が出やすい | ○ 票数に応じて議席が平等に配分されるので、死票が出にくい |
一票の格差 | ✕ 地方自治体単位で選挙区が決まるため、一票の格差(人口格差)が大きくなりがち | ○ 選挙範囲が広い(ブロック単位)なので、一票の格差(人口格差)は小さい |
「どっちの方が良い!」ってものじゃなくて
それぞれにメリット・デメリットがあるんだよ。
そうなんだ。
でも、ややこしいから、どっちか片方にまとめてほしいよね・・。
こんなにややこしいんじゃ、選挙に興味を持つ人が減る一方だよ。
確かにそうだね。
というかそもそも、この2つの制度は、民主主義の根底から相反しているものだから、国の民主主義の方針として「どっちか片方にするのが正解」なんだけどね。
どういうこと?
ここで東京都議会議員の「おときた駿」さんのブログの文章を引用するよ。
現在国会では、「議員歳費のコストカット」「一票の格差の是正」ということで衆議院選挙における議員の削減を計っており、
「小選挙区をもっと減らせ」
「いや、比例選出を減らすべきだ」という議論が行われておりますが、どうにも党利党略のみが先行し、前述のような選挙における思想・哲学の話しまで踏み込んでいるように見えません。
多数の意見が代表されるのが、民主主義なのか(多数代表制)。
少数の意見をできるだけ汲み取るのが、民主主義なのか(比例代表制)。これはまさに、民主主義の根幹を揺るがす論点です。
「とりあえず、一票の格差を是正しなければならないから」
「連立を組んでる◯◯党に不利だから、比例代表の数は減らせないな」とか、そんなレベルで結論を出してよい問題ではないです。
そもそも日本はこの二択に結論が出しきれずに、どっちつかずの「小選挙区比例代表並立制」という折衷案に逃げ込んだという歴史的経緯があります。そしてこれは本当に難しい問題です。
一般的にイギリスやアメリカなどのアングロ・サクソンの国は多数代表中心、
欧州各国は比例代表が中心の考え方と言われています。多数代表は、二大政党制になりやすく意思決定が早いが、少数を犠牲にし独善を招く。
比例代表は連立政党を招き、多用な意見を汲み取るが不安定で意思決定も致命的に遅い…。果たして日本は、どちらの道に進むのか。
それとも今のような、「選挙制度のデパート」と海外から揶揄されるような
中途半端でどっちつかずの、国から地方まで異なる選挙制度を維持していくのか…。
つまり、本来は
・「小選挙区制」という多数の意見を重視する”民主主義”
・「比例代表制」という少数意見も重視する”民主主義”
という「矛盾した2つの制度があること自体、おかしいよね」ってことだよ。
衆議院選挙の仕組みが、こんなに複雑なのは、「大人の事情」があるからなんだね・・。
おわり
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